赤ちゃんのかんむしや夜泣きで悩まされているのはアジア 人だけと聞いたことがあります。もちろん、赤ちゃんが泣い たりぐずったりするのは万国共通だと思いますが、アメリカ やヨーロッパは住宅が広いので、特に親が悩まされること はないとのこと。 というわけで、やはり中国ではかんむしや夜泣きの薬が沢 山売られています。特に有名なのは保嬰丹という薬で、こ れは正露丸と同じように一般名称らしく、いろいろな種類の 保嬰丹が売られています。 その中で一番有名な商品はこれ。 一瓶づつ入った箱が6個、立派な化粧箱に入っています。 当然手作業で作っているのでしょうが、これを日本で作った らすごいコストになるでしょう。中国お得意の人海戦術? しかし、容器は立派なのですが、瓶の中身は粉。これを年 齢によって一回1瓶とか2瓶づつ飲ませるのですからお母 さんも大変。成分も日本で使われているのとちょっと違うよ うで、変わったところではサソリの粉が入っています。 別の保嬰丹。立派な缶に入っていて、飲み終わったらいろ いろな使い道がありそうです。中身はやはり瓶入りの粉。 成分も似たり寄ったりで、サソリと琥珀が入っています。 アルミの袋に顔の絵が入っていますが、これは開発者。中 国の薬によく見かけ、信頼の証のようで。 これも小児薬ですが、青白い子供がなんとも不気味。裏に はおもいっきり顔が大きく入っています。中の能書に開発 者の経歴のようなものが書いてありますが、大事な成分が 書いてないというおおらかさ。 (表) (裏) 疳積散。日本語の癇癪に似ているので何の薬かわかりま す。中身は同じように瓶入りの粉。10個入りですが、1日3 回1瓶づつ飲んで3日分、2瓶づつ飲んだら1日ちょっと。 大きな箱の割には非経済的です。 女性の顔が入っていて一見化粧品のように見えますが、実 は小児用の咳どめシロップ。この女性はこの商品を開発した 化学師(薬剤師?)で、ドイツ人医学博士の奥さん・・とかなん とか書いてあります。製品名も「マダム・ピールズ」。 シロップなのに計量カップが付いてなく、ティースプーンで飲 ませるそう。 見た目は日本製のシロップ剤に似ていますが、咳どめシロ ップと書いてあるのに、なぜか効能にかぜや鼻炎が入って います。成分的に効きそうなものは入っていないような・・・ 西洋的なチュアブルもあります。カラフルなデザインがきれ いですが、日本ではお菓子とまぎらわしいと監督官庁から 怒られそう。名称に「幸福」を使うのはどういう意見なのか? 最後に、これは小児用の健康食品。この着色剤の色では 不健康になりそうな気がします。 まあこんな感じですが、文化が違うというか、薬といえども 大陸的なおおらかさが感じられます。 いろいろな面で近代化されてきている中国ですが、医薬品 に関してはまだまだという感じ。当然、香港では日本製の 医薬品に人気がありますが、自国産業保護のためか、年 々輸入許可が厳しくなってきているようです。 生薬は中国から伝わってきましたが、こうして飲みやすい 丸剤が無いところをみると、小さな丸剤は日本で生まれた 技術と伝統かもしれません(六神丸のような大きな丸剤は 中国にもあります)。 宇津救命丸がいかに飲みやすくできているか、改めて認 識していただけたでしょうか? ]]>