観艦式とは、自衛隊の最高指揮官(総理大臣)が洋上で艦隊を観 閲する行事で、1341年の英仏戦争のときの英国艦隊が行ったのが 起源だとか。3年ごとの開催で本番前に2回練習があります。今回 は2回目の練習ですが、一般の招待者も乗せて本番と同じように やるそうです。 一緒に行く業界の友人二人と朝の7時半に横須賀駅に集合。駅に 降りてビックリしたのは、駅は基地の真ん前にあり、駅前にはバス 停のロータリー以外何にもなかったことです。友人の一人はなんと 出張帰りのスーツ姿。ラフな格好の見学者集団の中でバリバリ目立 ってました。 基地のゲートまでは歩いて数分。見学者はいろいろな艦艇に分乗 するので乗り場が違うよう。それぞれの艦名を持った自衛官が立っ てます。 民間人がぞろぞろ歩いて来る一方、入口や建物の屋上にSWAT のような完全武装の自衛隊員が銃を持って警戒してるのが対称的 でした(さすがにカメラを向けるのはためらいました)。 スーツ姿の友人はどう見たって隣国のスパイ。手荷物検査で特に 念入りにバッグを検査されてました。書類にサインをしていよいよ 乗艦です。 我々が乗るのは平成8年建造のちょっと古い「むらさめ」。最新の イージス艦でなかったのがちょっと残念ですが、この艦は本番で 総理が乗る護衛艦の前を行く先導艦。ロケーションは最高だそう です。アメリカでは駆逐艦と呼びますが、海上自衛隊では護衛艦 です(戦車を特車と呼んでいたのと同じ大人の事情)。 護衛艦は桟橋に並列に何隻も並んでいるので、架設橋で艦から艦 へと渡って行きます。 艦を渡る途中で国旗掲揚の時間になりました。甲板上の全乗組員 が仕事を中断し、直立して艦尾のマストに敬礼してました。停泊中 の艦の国旗掲揚は毎朝8時に全艦が行い、国旗降納は日没と決 まっているのだそう。だから港の場所によって国旗降納の時間が違 うというのも面白いです。 これは外国も同じようで、映画「トラトラトラ」で真珠湾に停泊中の アメリカ艦隊が一斉に国旗掲揚をしているところに日本機が攻撃し てくるシーンがありました。この時間をわざと狙ったのかどうかは 知りませんが、事実としたらちょっと武士道としては・・・ この港から数十隻の艦艇が出港するので、出港するまでかなりの 時間がかかりました。この観艦式のために舞鶴や呉・佐世保所属の 艦艇が終結。海上自衛隊の全艦艇の6割ぐらいが参加するそうです から、こんな日に有事が起きたら大変です。 乗船してから一時間ぐらいしてやっと出港。タグボートも海上自衛 隊の自前です(あたりまえ)。 私は船に弱いので、酔い止めを飲んできました。港を出るとき、 アメリカ海軍の基地に寄港していた世界最大の空母「ドナルド・レーガン」 が見えました。一般公開日は希望者が殺到したとか。 横須賀港で自衛艦を見るクルーズが人気だそうですが、昨日乗っ た人は、護衛艦はいっぱいいるし空母はいるし最高だったでしょう。 むらさめには100人ぐらいの見学者が乗っていますが、広報の上級 士官が付きっきりで説明をしてくれました。 何隻もの艦艇を連ね、東京湾を出て集結地点に向かいます。 出港すると後部のヘリポートが解放され、渡された毛布を敷いて 席を確保。折りたたみ椅子を持って来る慣れた人もいました。 観艦式まで時間がたっぷりあるので、艦上や艦内を案内してもら いました。乗組員とすれ違うとみな挨拶をし言葉も丁寧。これは 服装からの印象かもしれませんが、みんなスマートで紳士の感じ がしました。 この艦の主砲はなんとこの一門のみ。しかも砲弾の直径はたった の75mmです(戦艦大和の主砲は460mm砲9門)。今やミサイルの 時代だから大きな大砲は意味がなく、どちらかというと小型船舶 や対空用だそうです。イタリア製というのも以外。 主砲の代わりになったのが対艦ミサイル。これはその発射機です。 対潜水艦用魚雷発射管。魚雷1発1億円だそうです。 防空用機関砲。飛んできたミサイルへの最終兵器。これで打ち損じたら・・・ 対空ミサイルのサイロ。もし北の国が日本に向けて弾道弾を発射 したら、このミサイルで迎撃します。まっすぐ打ち上げるので、 発射機を向ける時間のロスがないそう。日本の命運を分ける兵器 のそばで、お弁当を食べてる平和な風景です。 艦長のいる艦橋。窓があるのはここと艦長室だけというのが以外 でした。だから曜日の感覚が無くなるので、金曜日にカレーを出 すのですね。旧海軍時代からの伝統だそうですが、艦によって味 が違い、○○艦のカレーが一番おいしいとかあるそうです。 艦内は急なハシゴと狭い通路。 沖合いに出て暫く停泊し、観艦式の体系を整えていよいよ発進です。 つづく ]]>