観音堂
堀と塀
「知ってます、史料館にありますよ」と答えると、とても
嬉しそうに喜ばれました。その方は、30年まえに中学で
子供たちに版画を作らせた先生だったのです。
当時、町の主な建物二十数枚の版画を作らせたそうで、来
年それらを集めて展覧会をやりたいのだとか。でも、何カ
所かのは処分されてしまったそうです。一つがべニア1枚
の大きさなので、保存するのもスペースがいりますから。
そこで、史料館に案内することに。
「留守の者」と言っておきながら、勝手にカギを持ち出し
たり、このままでは何者なのか変なので「じつは私は・・・」
と自己紹介するとビックリされてました。
史料館に入ると、版画を見て「うわー」と声を出されて喜
ばれ、「こんなにきれいに残っていたとは・・」と感激さ
れてました。30年も前の物なので、カビてたり破れてた
りして、なかなか保存状態のいいのはないそうです。
じつは前から、長屋門の版画が左右逆なのが不思議でした。
もちろん、版画で掘って紙に移せば逆さになりますが、ふ
つうは元に戻しますから忘れたのかと」。
その話をすると、そうしたかったけど、大きいのでどうし
ても出来なかったとのこと。長年の疑問が解けました。
長屋門。30年前はカヤブキでした。
もちろん、来年の展覧会の出品はOKを出しました。
突然の訪問者でしたが、あんなに喜んでもらえて、案内し
た私も嬉しかったです。
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