誠意軒という名前で、幕末まで宇津家の当主が※斎 戒沐浴して宇津の秘薬救命丸を調合していました。 その処方は代々長男だけに伝えられ、この誠意軒に も当主だけが入ることを許されていました。 誠意をもって薬を作るから誠意軒と名付けたのでしょ うが、その信条は今も工場で守られています。 ※斎戒沐浴 飲食や行動を慎み、身体を洗って心身のけがれを 取ること。 建築様式は、同じ敷地内にある薬師堂と同じ高床式 で、東西5.5メートル、南北3.6メートルの飾棟付重 層寄棟造り(何がなんだか・・)で、一見お堂のように 見えますが、中は床の間付の6畳の茶室風。 周りをコの字型に縁側が囲み、南側に大きな窓、東 西に扉があって、障子を開けると庭が一望できます。 屋根は長い年月の間に苔が生え、なかなかいい感 じになっていました。 3年前にあまりにも周りの木々がうっそうとしてきた もので、かなりの木を切ったところ日当たりがよくなり すぎて、屋根の苔が全部消えてしまいました。 代わりにサビが目だつようになってみすぼらしくなり、 その上、以前倒れた木が直撃した屋根が垂れ下が り、このままでは崩壊しそうになっていました。 リホーム前の西側からの全景 同 南側からの全景 崩壊寸前だった屋根 部屋の中からのながめはバツグン 誠意軒には、水道も電気も来ていない為に使い道 が無く、しばらくほったらかしにしていましたが、何 といっても貴重な建物。今回、意を決して屋根の修 理を中心にリフォームをすることにしました。 内部は隙間から入り込んだ虫の死骸や土ぼこりで 汚れていましたが、壁などは以外にきれい。 そこで外装は専門業者にお願いし、内部は我々夫 婦で掃除をしようということになりました。 リフォーム完了後の外観 「誠意軒」の看板は昔のまま まずは障子の張替え。 大小10枚の障子を外して水に浸けて剥がし、障子 紙を貼りました。最近はのりを使わず、アイロンが けで貼れるので便利です。 素人ながらまずまずの出来栄えとなりました。 洗い終えた障子の桟 その出来栄えは・・・ 東から 西から 今回一番汚れていたのは出窓。土ぼこりがひどか ったので、バケツの水をぶちまけてデッキブラシで ゴシゴシ洗っちゃいました。 洗っていて、この出窓だけ木の材質が違うことに 気づきました。どうもこの出窓はあとで作ったらし いのです。江戸時代にガラス窓があるわけないし。 で、よく見ると、シャッターのように降りてくる雨戸 を発見! 残念ながら溝が曲がって降りませんでした。 南側の出窓 壁は以外に真っ白でしたが、さすがに畳は汚れて いて、いくら拭いてもダメでした。 しばらく様子を見て、汚れに強い合成畳に変えよう かなと思っています。 自分で掃除したので愛着がわきました。 暖かくなったら、お客さんのもてなしに使いましょう。 ]]>