恋文

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一つは、母が学生時代に書いた料理ノート。 当時の乏しい材料を使い、工夫しながら作った 料理がカラーのイラスト入りで書かれており、 我が母ながら、なかなかの絵心と思いました。             200901211833001%E3%80%80%E3%80%80%E3%80%80%E3%80%80%E3%80%80%E3%80%80%E5%89%B2%E7%83%B9%E5%AE%9F%E7%BF%92%E5%B8%B3.jpg 200901211832000%E3%80%80%E3%80%80%E3%80%80%E3%80%80%E3%80%80%E5%89%B2%E7%83%B9%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%88.jpg もう一つは、戦争中に母が作った慰問袋を持つ 少女の人形ですが、これはお世辞にもうまいと は言えません。 しかしこの二つが、後に染物や人形作りなどの 手芸に没頭した母と、そのDNAを受け継いで イラスト描きや模型作りが好きになった私の原 点かと思うとなんだか感無量でした。     「エモン袋」とあるのは栃木弁? 200901211837000%E3%80%80%E3%80%80%E3%80%80%E3%80%80%E3%80%80%E3%80%80%E4%BA%BA%E5%BD%A2%E3%80%80%E6%85%B0%E5%95%8F.jpg さらに、引き出しの奥にすごいものを発見。 それは古い封筒で、宛名は旧姓の母、差出人 は父でした。 見ていいものかと迷いながらも興味が先にたち、 読んでみると便箋6枚に書かれた父のラブレター でした。 両親は見合い結婚でしたが、何度か会った後 に書いて送った手紙のようです。 最初は自分の近況を長々と書き、次に母と会 った時がいかに楽しかったかと書いてありまし た。そして文章はいよいよ核心に・・・ 自分は、同年代の従兄弟に比べて積極的で はなかったけれど、母への思いは誰にも負け ないということと、是非また会いたいので何月 何日何時着の汽車で宇都宮に来て欲しいと 書いてありました。     会社の封筒というのがちょっと・・・ 200901211836000%E3%80%80%E3%80%80%E3%80%80%E3%80%80%E3%80%80%E6%89%8B%E7%B4%99.jpg 家内は手紙を読んで、父の思いがよく伝わっ てくると感動していました。「至急」のスタンプ が、父のはやる気持ちを現しているようです。 家ではいつもえばってよく母を怒鳴っていた父 が、こんな手紙を書いていたとはオドロキ。 この手紙がとってあったということは、もらった 母も嬉しかったのでしょう。だからこそ亭主関 白の父に黙って尽くしてきたのだと思います。 この手紙の存在を知っていれば、母の棺に入 れてあげられたのに・・・ 母はこの汽車に乗って会いに行ったのでしょ うか?いまとなっては確かめようがありません が、私が生まれたということは、父の思いは 伝わったのです。 電話もなかなかかけられない時代に、昔の人 はこうして自分の思いを伝えたのですね。 まさに恋文です。 先日兄弟家族が集まったとき、メインイベント にこのラブレターを読み上げましたが、知られ ざる父の側面にみな感動していました。 ふと思ったのは、私が死んだあと子供達に同 じことをされたらたまりません。 そこで家内に「私のラブレターはとっていない だろうな?」と聞くと「そんなのもらってない!」と 言われました。 ご主人や奥様からいただいたラブレターには ご注意を。もちろん、違う人からもらった手紙 は論外です。 ]]>

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