宇津家にある薬師堂は、江戸時代に人々の健康を祈願して建立されたも ので、当社の理念の根幹となっています。8月9日は「やくしの日」として、 全国の薬師堂で行事が行われており、当家でも昔からこの日は「一万燈 祭」として行事が行われてきました。一万燈とは、人々が幸せになれるよ うに、一万の灯りで照らすという意味が込められています。 むかしは、一万灯の前日の夜に芝居小屋が出たり、映画大会や花火大 会を催し、夜店も出て夜通しにぎやかだったそうです。娯楽のなかった時 代ですから、みんな楽しみにして、遠くから歩いて来た人も沢山いたとか。 しかし、時代の流れとともに集まる人も少なくなり、かなり前から住職に読 経だけをお願いし、内々で続けてきました。 以前より長男はその祭りがなくなったことを嘆き、いつかまた地元の方々 と一緒のお祭りを復活させたいと言ってました。今回、東日本大震災の復 興祈願もあり、町長や地元の長老会をお呼びして行おうということになりま した。みんな始めてのことなので、その用意が大変。 薬師堂はもちろん、史料館や誠意軒の見学もしていただくので、とにかく 草木の手入れや庭掃除が大変です。ふと、庭の敷石に苔が生えていて、 とても滑ることに気付きました。祖母も母もここで転んで腰を打っています。 お年寄が転んだら大変。そこで、これを取るのに新兵器を遠入。使い勝手 が悪くて何年もお蔵入りになっていたスチーマーです。大汗をかきながら 全部の敷石を蒸気で洗い終え、もうぐったり。 壁紙のカビを取ろうと思って買ったのに、壁紙が剥がれ、以来お蔵入り。 今回初めて威力を発揮。この汚い敷石が・・・ この通りピカピカに。 一万燈の前日は薬師堂での準備。堂内を一年に一度の大掃除です。水 も電気も来てないので、掃除するのが大変。いつも工場の人たちがやって くれます。 飾り付けの最中。年季の入った垂れ幕は明治のもので、元は紫色でした。 以前うちの庭を管理していた I さんから、「今年は特別なんだから、むかし 飾っていたぼんぼりを出して飾ったら」と提案がありました。これがあるとな いとでは、お祭りの気分が大違い。我々で立てるのは無理と諦めていたの で、とても嬉しい提案でした。 10年近く使ってない穴を探り出し、柱を立てたら高さがバラバラ。「めんどく さい」と I さんが、家にもって帰って電気のこぎりでバッサリ。愛車の軽トラ が大活躍です。 I さんの指導の下、みんなで力を合わせて組立てました。 全部で4本立てました。 むかしは何十本も立てて夜は電気が点いたので、それを一万燈と思った 人もいました(実は私も・・・住職に聞くまでそう思ってました)。 飾り付けが終わると、今度はテント張りです。テントぐらいではこの暑さは 凌げませんが、まさか直射日光の下に参列していただくわけにいきませ ん。なにしろ、薬師堂のお経は40分もかかるのです。幸いテントもパイプ イスも、薬師堂の隣りの公民館から借りることができました。 それでもこの暑さですから、お年寄りの熱中症が心配です。工場から長ー い延長コードを引っ張り、3台の扇風機を用意。冷たいお絞りと冷たい飲み 物もたっぷり用意しました。 イスとテーブルの配置も終わり、各自の役割分担も決まって準備万端。 この日は特別に暑かった日。みんな汗みどろになってがんばってくれました。 午後は激しい雷雨になりました。一万堂の前の晩はよく雷雨になるそう ですが、雨が上がるときれいな虹が出てました。明日はきっとうまくいく でしょう。 つづく 次回は、「新聞・テレビに出演しました編」です。 ]]>