今回は、世界遺産になった石見銀山、、薬の神様が祭られて いる出雲大社、三大砂丘の一つの鳥取砂丘、日本三景の天 橋立などの名勝をいっぺんに車で回って見てしまおう、という 盛りだくさんというか、無茶な企画です。 最初の目的地は石見銀山。ルートの重複を避けるため、出発 は広島空港からレンタカーで、いきなり140キロのドライブです。 石見銀山は、世界遺産に登録されてから交通規制が厳しくな り、この時期はバスも運行中止。龍源寺間歩(銀山の坑道)ま でのゆるやかな登り2.3キロを歩いて往復しなくてはなりません。 「歩かず、登らず、長居せず」をモットーとする我々にとって、ほ とんど死の行軍。健脚のご老人グループにたびたび追いつか れそうになりました。 私はほとんどの旅番組をDVDに録画しており、旅行に行く時は それを見て研究します。ただ、いつも見すぎて、実際に行っても あまり感動がなくなるのがたまにキズ。倉敷・津和野・白川郷 しかり、石見銀山もしかり。DVDで見たとおりでした。 世界遺産の碑と坑道あと 途中古いお寺などもあるのですが、みんな高い石段の上にある ので、疲れきった観光客はほとんどスルーです。もちろん我々も。 お土産屋も食堂もほとんどなく、観光地ズレしていないのはいい のですが、バスがないのはやはりマイナス。観光客には沢山来 て欲しいけど世界遺産は守らなければならない。地元の人には 悩ましいところでしょう。 ふもとの古い街並みはなにか懐かしい感じがしました。最後に 羅漢寺五百羅漢を見学。18世紀に銀山労働者の安全祈願や 弔いのために建立されたもので、こんな山奥の石窟の中に500 体もの石像を作っことは驚異です。 自動販売機も街並みに溶け込む配慮が 五百羅漢の石窟 見学が終わると、一路松江市へ。 城下町の松江市は、宍道湖と中海にはさまれた、うつくしい水 の都です。でも、私はこの旅行の前まで、この町が島根県の県 庁所在地どころかその名前すら知りませんでした。 まだ時間があったので、堀川巡りの遊覧船に乗ることにしました。 50分の行程でしたが、昨年行った萩と同じような上品で古風な 街といった感じを受けました。なによりも、どぎつい色やごちゃご ちゃした看板がないのが好印象です。 お堀を進む舟より 宍道湖に沈む夕日も素晴らしいそうですが、それを見ている時 間もなく、今夜の宿のある玉造温泉へ。久々に歩いたので、旅 館で受けた足ツボマッサージは至福の時でした。 二日目は、松江市周辺を1日ゆっくり探索。そのために二泊目の 宿は一泊目の近くにとりました。いつも長居をしない我々の旅行 としては初めてのことです。 しかし、残念ながら天気は雨。とりあえず足立美術館に行きま した。ここは、アメリカの雑誌で日本一の庭園と賞された4つの 庭園が見所。横山大観の絵画も数多く展示してありました。 お昼は、宍道湖を望む食事処でしじみ料理を食べました。 食事が終わると一時的に雨がやんだので、松江城の付近を散 策することに。店のご主人が、近くだから車をここに置いて行き なさいと親切に言ってくれました。でも、これが失敗の元。 お城まで1キロ近くあるうえ、武家屋敷や小泉八雲記念館を巡 ると、ほぼお堀を一周することに。かなりの距離を歩いたため、 松江城の天守閣を登る時は汗だくでくたくた。 お城の前にある大駐車場を横目で見て、降りだした雨の中を また1キロ戻りました。 堂々とした城は昔の姿のまま そんなわけで予定外の時間がかかってしまい、今回の旅行の 目的でもある出雲大社を今日中に見なくてはならないので焦り ました。 カーナビの到着予定時間と競争で、急いで出雲の国へ。 冒頭に書いた出雲大社に祭ってある薬の神様とは、大国主命 (おおくにぬしのみこと)で、因幡の白ウサギにガマの穂にくる まって治療することを教えたのが日本の薬の起源とされてい ます。 屋根だけしか見えない本殿 テレビや写真でよく見る大きな注連縄(しめ縄)のある建物は 神楽殿で、拝殿はさらに奥にあります。ここでお参りをして帰っ てしまうあわて者の人もいるとか。 現在本殿は改装中で完成は5年後とのこと。 ゆっくりする暇もなく、この日の宿のある湯の川温泉に向かい ました。 巨大な注連縄がある神楽殿 三日目は一番大変な日です。日本海沿いに鳥取砂丘を回っ て天橋立まで260キロのロングドライブ。 途中、友人に勧められた八重垣神社に寄りました。まわりに お土産屋もないこじんまりとした神社で、お年よりも若い人が 目立ちました。木立の中にある「鏡の池」に占い用の紙を浮か せて願い事をするので有名だそうです。 鳥取県内には高速道路がないとよく知事が嘆いていますが、 造りかけの高速道路が所々にあり、だいぶ時間の節約になり ました。でも、そのほとんどが無料というのが解せません。 鳥取砂丘は思ったほどの広さではなく、砂丘に残る人の足跡 とイタズラ書きがちょっと興ざめで、観光化しすぎたところは石 見銀山と対称的でした。 といっても、やはり広い鳥取砂丘 思ったよりもスムーズに走れ、天橋立には4時ごろに着くこと ができました。 宿は高台にあり、部屋とお風呂から天橋立が真正面に見え、 最高のロケーションでした。 翌日、レンタサイクルを借りて天橋立を渡りました。 両側を海と松林に挟まれた道を走る最高のサイクリング。この 道を通学路として使う学生がいるそうで、羨ましい限りです。 反対側のお店で乗り捨て、籠(この)神社をお参りしてからリフト で傘松公園の展望台へ。 ここは、天橋立を股から覗く発祥の地(?)ということで夫婦で 実行。慣れないことをして頭に血が下がりフラッときました。 帰りは観光船に乗って帰り、文珠の知恵の起源となった文珠 堂のある知念寺を参拝。 その後、最後の目的地である丹後半島の伊根に行きました。 ここは家の一階から舟で出入りする舟屋があることで有名で、 NHKの朝の連続ドラマの舞台にもなりました。 昔はここまで通じる道がなく、舟が唯一の交通手段だったそう です。遊覧船に乗って、海側からそのめずらし町並みをながめ ました。 船から望む伊根の街並み 帰りは宮津から高速道路に入り、伊丹空港へ。 今回の4日間の行程は840キロ。通った県は4県と2府。 かなりなハードスケジュールでしたが、いっきに見聞を広める ことができました。 家に帰ると、二匹の犬が大歓迎。私はリリと、家内はモルと しっかりと抱き合い、再会を喜び合いました。 ]]>