迷犬物語(2)

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サミーとモンが相次いで死んだ後、15年近く犬のいない 生活が続きました。その後、祖父・祖母・父と続けて亡く なり、大家族だった我が家も寂しくなりました。 そろそろまた犬を飼いたくなったころ、田舎の知り合いの 家にシェルティーの子供が生まれ、譲ってもらうことになり ました。三代目と同じサミーという名前を付け、東京に連 れてきました。           ウチに来た時のサミー sami3%20%20%20%20%E5%AD%90%E7%8A%AC.JPG 静かな田舎で育ったサミーは、最初は大変臆病者でした が、年を負うごとにどんどん大きくなり、「おまえはコリーだ ったの?」と思うぐらいに巨大になりました。 それにつれ性格も凶暴化し、よその犬や宅急便のお兄 さんに噛み付いたり、散歩に連れていった母を引っ張り 倒して、救急車で病院送りにしてしまいました。 たまりかねた家内は、サミーを半年間訓練所に入れまし た。彼にとってかなりつらい収容所生活だったらしく、出 所してきた時はげっそり痩せ、しばらくはおとなしくしてい ました。しかし、犬も人間の子供も、しつけは小さな時から しなくてはならなりません。 訓練所に入れたのが遅かったせいか、しばらくするとまた 凶暴に戻ってしまいました。      当時の我が家の年賀状(作者は私) nenga.JPG 今回、サミーの手下候補は私の3男。 他の家族に従順なサミーも、3男には反抗的で、いつも けんかをしていました。ある日3男のほっぺたに歯型が。 息子に理由を聞いても答えませんでしたが、壮絶な戦い があったようです。        おまえはコリーか?シェルティーか? sami5.JPG ある夏の暑い日、私が散歩に連れて行った時のこと。 近所の家に天敵の犬がいて、その家に近づくとサミーの 興奮も最高潮。グイグイ紐を引っ張っていたかと思うと、 いきなりバタッと倒れてしまいました。口から泡を吹き、白 目を剥いいるので、死んだのかと思いました。 息子と違って人工呼吸もちょっと無理。小型犬といっても 23キロあったので、抱きかかえて帰ることもできず、どう しようかと思っていると、何事もなかったようにムックリ起き 上がって歩き出しました。あまりの興奮に首輪が締まり、 呼吸困難になって気絶したようです。               庭に猫でも来ようものなら、気が狂ったようにガラス戸に 体当たりし、飛び跳ねて吠えまくって、そばの長椅子や カーテンはズタズタ。 子供の友達数人が泊まりにきた時は、部屋に乱入して 大暴れ。子供たちは、まるでジュラシックパークのようだ と言ってました。 散歩は、他の犬がいない朝の5時と夜遅くに行き、それ 以来、家内は早起きのクセがついています。       死んでいるわけではありません。猛犬の昼寝。  sami4%E3%80%80%E3%80%80%E6%98%BC%E3%81%AD.JPG 近所の動物病院に相談すると、睾丸をとればおとなしく なると言われ、手術をしました。動物はあまり痛みを感じ ないといいますが、寝ると痛いらしく、その晩はずっと立 ったままでいました。 しかし、予想は見事に裏切られ、傷の痛みも癒えると、さ らにパワーアップしたようで、ますます凶暴化してきました。 そんなサミーですからいつも孤独でしたが、唯一心を許し ていたのが、犬好きのクリーニング屋のおじさんでした。 「クリーニング屋さんが来るよ」というと、そわそわしだし、 オートバイの音がすると、玄関に座って待っていました。 サミーに異変が現れたのは6歳の時。右目が異常に大 きくなっています。 獣医病院に連れて行くと、緑内障だと言われ眼球を摘出 しました。しばらく元気でいましたが、今度は傷口がなか なかふさがりません。違う病院で見てもらうと、脳腫瘍で 手遅れだと言われました。 それでも凶暴性は変わりませんでしたが、さすがにだん だん弱っていき、歩くのもフラフラになりました。 いつもトイレを二階の廊下でしていたのですが、階段が 登れないので、トイレに行きたくなると2階を見上げてい ました。ちょっと見かけないと思うと、玄関の横の階段下 に落ちていたりもしました。 やがて寝たきりになり、家内が一生懸命看病しましたが、 そのうち見るに見かねて、最後は獣医さんにお願いしました。 サミーは太く短い一生で、散々手こずらされましたが、一 番印象に残る犬となりました。 つづく 初代サミーの写真が出てきました。 薄幸だった彼ですが、かわいがられて(?)いました。。 sami2%E3%80%80%E3%80%80%E3%81%8A%E3%81%99%E3%81%BE%E3%81%97.JPG ]]>

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