残ったメスのリリは、生まれて今年で13年。犬年令では推定80才で、以前は「娘」
と呼んでたのに、とうとう年上になってしまいました。モルとリリは夫婦でも兄弟で
もありませんが、同じ年に生まれ、ずっと一緒にすごしてきました。人間界では、
奥さんに先立たれた旦那さんは弱ってきますが、旦那さんが先に亡くなった奥さ
んは元気で長生きするとか。犬界でも同じようで、彼女はいたって元気です。
モルが死んでも寂しがる様子もなく、他のシェルティに会っても知らんぷり。でも、
白髪で腰の曲がった、亡くなった母に似た人を見ると、ハタと足を止めます。
小さいころ母の家で育ったので、いまでも覚えているのでしょう。そう思うと、なん
か哀れになってきます。
私に抱っこするときは、必ず手(足?)を首に回します。
彼女の美貌は衰えず、歳を聞いたみんなは「若ーい」と褒めてくれます。以前は、
飼犬界の吉永小百合と言ってましたが、最近では「美魔女」と呼んでます。
でもさすがに歳で、昔のようにハツラツとはしていません。 イヤ、むかしから、
ハツラツとはしてませんでしたが・・・
たいていは一階のリビングの長椅子で寝ていますが、ある日夜中に降りていくと、
真っ暗な部屋にテレビのボーっとした光が。誰かが消し忘れたと思って家族に問
いただすと、誰も知らないと言います。そんなことが数回続きました。ある日、私が
テレビを見ていると、いきなりチャンネルが変わりました。犯人はリリ。リモコンを
踏んづけていて、テレビをつけたりチャンネルを変えたりしていたのです。
ヤラセじゃありません。
寝ていることが多く、「リリ!」と呼んでも知らぬ顔。唯一できた芸の「お手」もやり
ません。起きているのは、食事の時と散歩の時だけ。暗くて寒い部屋に寝ていて、
そばに行っても目を開けないので、死んでるのかと思ったことも。名前を呼んで
身体を揺すり、やっと目を開ける始末です。
実家にある安楽椅子がお気に入り。一度モルが寝てたら、その上に乗って追い
出しました。
そのくせ、相変わらず食欲はすごく、いつもお腹をすかせてます。散歩と食事は
セットなので、散歩に行くときはワンワン吠えて大喜び。1日に2回は元気な声が
聞かれます。むかしから、ウ◯チの量は半端じゃなく、まるでウ◯チ製造マシーン。
雨で散歩に行けないときは大変。歩かないと便意を催さないので、難産になって
しまうのです。だからウ◯チが出ると、「そんなに嬉しいの?」というほど、飛んだ
り跳ねたり大喜び。ふだん上がれない階段も、駆け上がって行きます。ただ、所
定の位置でちゃんとしてくれればいいのですが・・・。だから、リリが二階に上がっ
てきたときは要チェック。たいていは、廊下が悲惨なことになってます。
プリンの容器を舐めさせてもらうのが彼女の至福のとき。目がウットリ。
寝るときは部屋の隅が大好き。小さい頃からの癖で、まず前足でカリカリカリカリ
しばらく床をひっかきます。おかげで、東京の家も栃木の家も、畳・絨毯を問わず、
部屋の四隅は傷だらけ。犬にもそれぞれ癖があって、前に飼っていた犬は、寝る
前にクルクル回るのが癖でした。ある日、リリが寝室の隅に寝ようとして、コード
を引っかけ、私のお気に入りのルームランプを落として破壊しました。まったく!
その残骸をまだ使ってます。
何事にも動じないリリ。よその犬に吠えられても、知らない人が近づいても知らん
ぷり。息子たちにプレゼントされた掃除ロボットがぶつかっても、平気な顔をして
います。逆に、先に死んだモルは神経質で、正反対の性格でしたが、おっとりし
ている方が長生きするんですね。でも、彼女にも苦手なものが。それは雷と暑さ。
栃木の夏に雷はつきもの。特に実家の方は、雷の通り道のようです。その上、家
の周りには背の高い木が多く、さらに、むかしは何を考えていたのか、やたら避
雷針が立ってるのです。だからわざわざ雷を呼ぶようなもので、そばに落ちたこと
もしばしば。バリバリ!と耳をつんざく音に、さすがのリリも怯えてました。
怖くてママに抱っこ。
今年の夏も暑かったですが、そのさなか、寝室のエアコンが壊れました。リリは
寝室で一緒に寝ることが多いのですが、真夏に毛皮を着ている彼女は大変。
いつもぐっすり寝てるのに、この時ばかりは寝ないでウロウロ。夜中にいきなり
ベットに飛び乗って、狂ったように飛びついてきました。ふだんはおとなしいのに
ビックリです。きっと「暑いよ ! 何とかして ! 」と言いたかったのでしょう。
最近のお気に入りは肩のマッサージ。犬も肩こりがあるとかで、気持ちよさそう。
80歳になっても、彼女の役割りは家族への癒し。少しでも長生きして欲しい
ものです。
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