ゴジラ考察

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昨年ゴジラ−1.0を観た話をしましたが、今年、日本アカデミー賞で12
部門の優秀賞章受賞し、米アカデミーショーでも視覚効果賞にノミネート
されたと聞いて、ゴジラも万人が認める存在になったのかと感じました。。

 

ゴジラ映画が最初に上映されたのは1953年。私はまだ2歳たったので、
ずっと後にビデオで見ました。初めて怪獣映画を観たのは小学生の時。
1961年に上映されたモスラで、祖母と近所の映画館で観ました。
いま思うと当時の花形スターが揃って出演してたり、大がかりなミニ
チュアのセットだったりで、当時の東宝の本気度がわかります。
モスラ(1961) : ポスター画像 - 映画.com東宝ポスターより

 

ミニチュアが好きだった私は、怪獣よりも街や車両のセットに魅了さ
れ、その後も特撮目当てで怪獣シリーズは楽しみにしてました。
プラモデルもまだ少ない時代ですから、すべてをほとんどゼロから作っ
技術スタッフの熱意はスゴいと思います。

 

ゴジラを初め一連の怪獣映画の特殊技術を担当したのが、ウルトラマン
で名を馳せた円谷プロの円谷英二監督。戦争中に彼が作った真珠湾攻
撃のシーンは、戦後に占領軍が見て本物と思ったぐらいリアルでした。

 

ゴジラ映画に戻りますが、一作目が映画館に行列が出来るぐらいヒット
し、サザエさんの漫画でカツオに「ゴジラ見たい!」と言わしめたぐ
らい一世を風靡しました。そして二作目が創られましたが、ゴジラが
単独で出たのはそれが最後。その後はゴジラ対〇〇みたいな対決もの
になっていきました(ウルトラマンの影響?)。

先日、その一作目を久々にスカパーで観ました。特撮はいまの目で見
るとちょっと厳しいけど、俳優は鬼気迫るぐらい真剣。昭和28年当時
で、しかも白黒だったのが功を奏し、当時の観客は怖かったでしょう。
そういえば、ゴジラにあやかって、テレビで「マリンコング」という
怪獣ドラマ?を放送していました。妻も観ててとっても怖かったと言
ってますが、ネットで見たら怪獣ブースカみたいでまるで怖くない。
時代や年齢によって受け取り方が違うようです。
常盤橋ゴジラギャラリー」完成、歴代ゴジラ全29作品のポスターや ...東宝ポスターより。ポスターはカラーでも映画は白黒です

 

ゴジラ映画も時代とともに変化してきましたが、私の中の許容範囲は
キングギドラが出てくる「 三大怪獣地球最大の 決戦」まで。
宇宙怪獣が出現したり、モスラの説得(テレパシー?)で3匹の怪獣が
力を合わせて宇宙怪獣と戦ったり、いま観ると笑止千万ですが、まだ
まだセットなんかにお金をかけてて、当時は真剣に観ていました。

 

この時からゴジラは、本来の狂暴な姿から地球を守るヒーローになっ
てしまいました。怖かった顔も少しずつ変わりだんだん柔和な顔に。
内容も子供向けになり「シェー」をさせたり、子供のミニラが出てき
たりともう無茶苦茶。私も見なくなり、大人のファンも離れて斜陽と
なってきました。

 

その後、1984年にすべてをリセットし、対決ものではない本来の狂暴
なゴシラが復活。小さかった子供たちを連れて見に行くと、こわい
こわいと言って見ませんでした。

東宝 ゴジラ('84) B2ポスター | まんだらけ Mandarake東宝ポスターより

 

しかし、せっかく復活したリアルなゴシラもなぜかまた対決ものになっ
ていきました。興行収益が減ると予算が無くなり、セットがちゃちく
なってきます。戦う場所も薄暗い森や平原が多く、街のセットも明らか
に精密感のないものとなりました。
日本語を話す、どう見ても日本人の宇宙人もよく出て来てましたね。

 

スカパーで2004年の「ゴジラFINAL」を観ましたが、ゴジラのすべて
を愛するゴジラファンには申し訳ないですが、観るに堪えなくて途中
でやめました。

 

ゴジラはハリウッドでも創られました。
あのタイタニックを撮った監督が1988年に造った「GODZILLA」です。
タイトルにGODを入れたのは、神のように強い 無二の存在としたかっ
たとか。
生賴範義ゴジラ B2ポスター | mobydick東宝ポスターより

 

本家のゴジラと大きく違うのは、本家が当時まだ着ぐるみだったのに
対し、ゴジラをCGで創ったことです。リアル感と迫力は増しましたが、
生物学に則った体型にしたため、ゴジラというよりトカゲか恐竜に近く、
動きが敏捷。弾を跳ね返すというよりよける感じで、結局最後はミサイル
で倒されてしまうのです。

 

なので「これはゴジラではない」とアメリカにも沢山いるゴジラファン
に不評だったようです。その後も何本か創られましたが、形態はゴジラ
をリスペクトし、本家に出ていた芹沢博士や、ゴジラ対策最終兵器が出
てくるなど、本家へのオマージュがみられました。
でも、その後本家の対決ものまで真似をするようになり、他の怪獣が
ゴジラにひれ伏して・・・やっぱりつまらなくなりました(私にとって)。

 

一方日本では、アメリカ版ゴジラに刺激されたのか、2016年に14年ぶり
に「シン・ゴジラ」が上映され、再びゴジラは凶悪になって生まれ変わ
りました。ゴジラはこうでなくっちゃ。「シン」とは英語の意味と違い、
震・神・真の意味が込められているのだとか。
この作品はゴジラ本人?より官僚の葛藤が話題になりましたが、最初に
変態するツチノコみたいのがあまりにも作り物っぽく、わざとそうした
のか制作者の意図がわかりません。最後のシーンで、しっぽの先に付い
ていた骸骨も???です。
写真3/4|「常盤橋 ゴジラ ギャラリー」歴代ゴジラ29作品の ...東宝ポスターより

 

そして、最新作の「ゴジラ−1.0」。マイナスの意味は、戦後のゼロの
状況にゴジラが現れ、更に負の状態になったことを意味しているとの
ことです。ストーリーも映像も最高でした。
東宝ポスターより

 

ゴジラが壊す定番といえば、有楽町の日劇・東京タワー・大阪城。
もう何回壊されたかわかりません。日劇を壊した後、JR(当時は国鉄)
のガードを壊し、電車を振り上げるのが定番です。ちなみに、日劇は
東宝系なので自社ビルを壊したことになります。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                  ゴジラといえば自衛隊ですが、一作目から製作に協力してたんですね。
ただし、ゴジラ−1.0は自衛隊設立前の話なので自衛隊は出てきません。
昔は戦闘シーンになるとミニチュアが使われましたが、最近は実写

が多いです。でも、毎回通常兵器では倒せず、怪しげなレーザー兵器
などを持ち出すのですが、それも成功したためしがない。
その点、最初のアメリカ版GODZILLAは軍隊が征伐してしまうので、
アメリカ的かも知れません。そこが不評だったようですが。                                                                                                                                                                                                                                 シン・ゴジラでは、自衛隊が怪獣退治に出動する法律的根拠で紛糾し
ますが、以前バラエティー番組に自衛隊の広報官が出演し、出動でき
る根拠はあると真面目に語ってました。
                                                        「ゴジラ−1.0」で立派に狂暴に更生した訳ですから、今後もこの
調子でゴジラのご活躍をお祈り致します。

 

 

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